第50回日本語弁論大会・全国ファイナル 優勝者のスピーチ

Japanese language speech contest

Amrit Kumbhar, the winner of the Open Division, and Catherine Liu, the winner of the High School Senior Division at the 50th Japanese Speech Contest Source: The Japan Foundation in Sydney

Get the SBS Audio app

Other ways to listen

記念すべき50回目の日本語弁論大会の決勝が12日、シドニーのジャパンファウンデーションで行われました。2019年11月12日放送。


Japanese language speech contest
Dr. Robyn Spence-Brown of Monash University giving a presentation at the reception to commemorate the 50th anniversary of the contest Source: SBS
今年の弁論大会にはオーストラリア各地から約360人のエントリーがあり、地域の大会を勝ち抜いた15人が全国大会(決勝)に臨みました。

審査員のうち、Robyn Spence-Brown博士 (Monash University)とKathyryn Tominagaさん(Modern Language Teachers' Association of Queensland)はそれぞれ、過去の全国大会の出場者でもあります。

各部門の優勝者は以下の通りです。(入賞者全員のリストはページを下にスクロールして下さい)

ハイスクールシニア部門 Catherine Liuさん。(The Mac.Robertson Girls' High School, VIC)

オープン部門 Amrit Kumbhar さん。(University of South Australia, SA)

優勝スピーチの原稿

優勝者2人の許可を得て、スピーチの原稿を以下に掲載します。

丁寧戦争(Manner War)  Catherine Liu

初めて日本に来た外国人にとって、日本は不思議だらけです。私も留学で日本に行ってオーストラリアの文化と違う点に色々気付きました。

日本では、丁寧さのレベル戦いが存在します。戦場は、コンビニでした。店の人はいつも私より丁寧でした。

ある日、おむすびを持って、カウンターに行きました。百円でした。お釣りを受け取ったとき、私は「どうも」と言いました。すると、店員さんは「ありがとうございます」って言いました。

次に、同じコンビニで、またおむすびを買いました。お釣りを受け取ったとき、今度、私は「ありがとうございます」って言いました。すると、店員さんは「どうもありがとうございました」と言いました。

その時、私は考えました。もしそのコンビニで、またおむすびを買って、「どうもありがとうございます」って感謝したなら、店員さんはなんて言うんでしょう?

同じ「どうもありがとうございました」でしょうか?

いいえ、またレベルアップして、「本当にありがとうございました」というのでしょうか?

それでは、次に私は、「心と魂から、どうもありがとうございます」と言うのでしょうか?

そうすれば、私の勝ちですか?

しかし、なんで? なぜこの日本の素晴らしい文化では、丁寧さはそんなに大事なんでしょうか?

西洋人は挨拶として右手で握手をします。昔、人々がまだ剣で戦っていたとき、剣は左にさし、右手でぬいたので、何も持っていない右手を出す事は、武器を持っていない平和のあかしでした。

これは日本の丁寧さに似ています。日本には、友人や家族を大切にするという長い歴史があります。良好な関係を築くための最も重要な要素の1つは、敬意です。特に最初に会う時は大事です。

敬意をあらわすと、より良い関係が生まれ、平和を保つ事が出来ます。

私は、この丁寧な日本の文化が大好きです。また、日本に行って、コンビニの店員さんに『ありがとうございます』って言われたら、日本に来たんだなって思うでしょう。今度は本当に、心と魂からありがとうございますっていってみようと思います。

●いろは歌と楽天主義的ニヒリズム(The Iroha song and Optimistic Nihilism) Amrit Kumbhar

「いろはにほへと ちりにぬるを

 わかよたれぞ つねなるむ

 うゐのおくやま けふこえて

 あさきゆめみし ゑもぜずん」

皆さん、このいろは歌をご存知でしょうか。平安時代に作られた、作者不明で、いくつかの特徴を持った歌の事です。いろは歌は全部のひらがなを使うにも関わらず、一度も被らないと言う素晴らしい特徴をもっています。そのゆえ、江戸時代で子供にひらがなを教えるために使れていたそうです。しかし、僕を新に感動させたのはいろは歌の特徴ではなく、それが表す奥深い哲学的な意味の方です。

その意味について語る前に、一つ紹介したい概念があります。皆さん、ニヒリズムをご存知でしょうか。この考えでは、「死後の世界は存在せず、死んだらただ無になるだけ。そして、人間は目標のないまま ただ子孫を繁栄するためだけに存在している。要するに人生に意味はない」と言うとてすも憂鬱的な考えです。しかし、僕は楽観主義者なので、このニヒリズムの考えは根本的に嫌いです。そこで最近しった、このニヒリズムのマイナスな考えを逆手に取った面白いしてんがあります、それが楽天主義的なニヒリズムです。この 考えでは「人生に意味がない、だからこそ、全力で生きようではないか、もし金も名も無意味ならば、その両方に縛られず自由に生きようではないか、もし、いまでの 失態や 公開も 無になるならば、失敗をおそれず勇気ある一歩をふみだそうではないか。そして、もっとも、もし人生に意味がないのであれば自分でその意味を作ればいいのではないか」と言う考えです。僕は この考えを すごく 素敵だとおもいました。

そこでです。実はいろは歌も似たような意味を表しています。いろは歌を歴史的かな使で 読んだら。「色は匂へど 散りぬるを、花が美しく咲いてもいずれかは枯れて土に落ちるだろと言う意味です。そして、「我が世誰ぞ常ならん」この 世界で永遠に変わらない物は果たしているだろうかと言う意味です。両方の文は「栄光盛衰を表しています」。では次、有為の奥山今日越えて、「有為」と言うのは仏教からの言葉で人生を表します、そして、人生の山と言うのが 人生の苦難を表すたとえです。なので、この人生の山を今日もこえて、「浅き夢見じ酔ひもせず」。浅い夢を見ないようにしよう、そして、それに酔わずに生きようと言う意味です。全部合わせたらたら、「どんな人でもいずれは死にます、そして人生は悩みつづけるにはあまりにも短い儚い物です。だからこそ、浅い夢を見ずに、そしてそれに酔わずに正しく、楽しくそして自由に生きようと」言う意味です。

御覧のとうり、これは楽天主義的ななニヒリズムととても似たような考えや意味を表しています。この二つの考え方は僕の心に強くひびきました。僕の人生に対する支店を大きく変えました。皆さんも将来悩みを抱えた時や落ち込んでいる時に僕のスピーチを思い出してください、そして 正しく、楽しくそして 自由に生きてください。では最後までのご清聴ありがとうございました。
Japanese language speech contest
Old newspaper article on the Japanese speech contest in 1971 Source: SBS

●受賞者リスト



1st Catherine Liu (The Mac.Robertson Girls’High School, VIC)

丁寧戦争/Manner War

2nd Kaustav Bhowmick (Perth Modern School, WA)

成功って本当に何でしょうか/What Truly inSuccess?

3rd Renyun Zhang (Norwood Morialta High School, SA)

ゴミの分別/Waste Classification



1st Amrit Kumbhar (Universityof South Australia, SA)

いろは歌と楽天主義的なニヒリズム/The Iroha Song and Optimistic Nihilism

2nd Xinyi Wang (Australian National University, ACT)

日本と中国の茶文化/Tea Culture in Japan and China

3rd Darwin Hands (University of Tasmania, TAS)

訳せない想い/An Untranslatable Feeling



Ying Lou (Macquarie University, NSW) in Open Division

私はレモン/I am a Lemon

Josh Campbell (Rangiora High School, NZ) in High School Division

ニュージーランド人と日本人の考え方の違い/The Differences in How Japanese and New Zealanders Think

オーストラリアや世界の話題を、日本語で!


Share